来年7月以降に改造予定

 もちろん、今日発表された安倍晋三内閣の陣容についてである。来年七月の参院選に勝つことができれば(できることならある程度余裕のある勝利が望ましい)今回の内閣は早速見直され第一次改造内閣が新たに誕生することになるだろう。今回の組閣はその意図が明確である。
 今回の組閣が論功行賞・身内人事であるとの指摘はもっともだが、それ以上に参院選のためだけの内閣である、と僕は考える。なぜなら安倍首相には「絶対に短期政権には終われない」という最重要命題があるからだ。安倍首相の掲げる政治課題は短時間で達成できるものではないからだ。教育基本法改正は今臨時国会で成立する可能性はあるが、憲法改正、そのための国民投票法案、集団的自衛権行使、教育改革のための日教組やPTAの抜本的改革、再チャレンジの具体化等々安倍首相のオリジナルテーマは一朝一夕で実現可能なものではない。5年あってもできないかもしれない。しかし安倍氏はできる限りそれらを実現したしたいし、少なくともその道筋は立てたい。そうなるとどうしても来年の参議院選挙は勝たねばならない。

 小泉前首相はあえて党内の抵抗勢力を名指しし、切り捨てることで選挙を戦った。この戦法はメディアなどは非情・独善と非難したがその実選挙には勝った。当たり前である。小泉前首相の戦法はいわゆる世間の常識であったのだ。というか切り捨てられたやつの面子をみて同情する国民はいなかった、ということだ(まぁ国民新党を支持する人が世論調査のたびに1%前後はいるけどね)。
 が、この手法を永田町で踏襲するのは困難を極める。というかあとにも先にも小泉前首相しかいないかしれない。安倍首相は下手な真似事をするより、あえて従来の挙党体制をとったということだろう(そもそも組閣人事にサプライズを持ち込んだのは小泉前首相の功罪のうち罪だと思うが)。

 もちろん、単なる挙党体制人事ではない戦略的な人事でもある。例えば津島派だ。実質的ナンバー1の久間氏と中堅の佐田氏を登用することで第二派閥の津島派の分裂を狙い、額賀氏を牽制した。党三役の総務会長に丹羽氏を抜擢したのもけして仲が良くはない丹羽・古賀派の両氏を離散させる意図がある。また中川昭一氏を重用する不満を解消するために伊吹文明氏を入閣させた。また河野グループを今後麻生氏が継ぐとの報道にもあるように総裁選では麻生氏に票を譲る形で麻生氏の2位を確保し従来媚中的な河野グループの方向転換にも成功した。案外愚直な組閣人事ではないのである。

 が、どうしても納得いかないのが農水大臣である。松岡利勝氏である。確かに氏は「機を見るに敏」な政治家としては有名だがそれ以上に過去のスキャンダルを含めて清潔なイメージからは一般的に遠いように思う。昨今の組閣人事においては身辺調査は慎重に行われていると言うが、正直不安だ。良識ある国民はその名前だけで拒絶反応を起こしかねない。僕なんて入閣を知ったときは安倍首相も錯乱してると思ったもんね、今もだけど(これだけは読めないなぁ、それとも余命いくばくもないのかね)
 ただただ松岡氏の身辺整理と改心に期待するのみである。そうじゃなきゃ爆弾そのものだからな。

 そういえば先程安倍首相の記者会見をNHKで見ていたけれど、やはり安倍首相の政権構想の柱は「美しい国」だ。僕だってそう思う。昨今の日本はあまりに義務を無視した自由教育のおかげで醜さにも程がある。最近のニュースの話題なんてほとんど醜い。

 ところでふと思ったのだが。確か中国語で「美国」とかいてアメリカのことではなかったか?。台湾では「美利堅合衆国」と表記するんじゃなかったけ?。

 なるほど日本国は憲法9条がある以上アメリカとの強固な同盟関係がなければ「美しく」はありえないのかもしれない。

 それが嫌なら事実上アジア共同体としてあの国の属国になるか、それとも自らの主権をほとんどの国家と同じ方式で(憲法を修復して)維持するか、その二択しかないように思う。

 確かに社保庁改革や格差是正など直近の問題も重要だ、しかしそれと同様に今後数百年を左右する国家の基本方針にたいするスタンスの明確化は必要だと思うのだが。